スピッツ – 隠れた名曲10選! ヒット曲の陰に隠れた名曲を紹介

恋する凡人

パンクからスタートしたスピッツは慣例や枠に収まらない試みをすることがありますが、「恋する凡人」もそんな曲のひとつです。

通常は、スタジオ収録バージョンをリリースしてからライブバージョンを発表するという順番ですが、「恋する凡人」はその逆です。

まず2010年6月リリースの36th シングル「つぐみ」のカップリングに「SPITZ JAMBOREE TOUR 2010」のライブ音源が収録され、同年10月にリリースされた13th アルバム「とげまる」にスタジオバージョンを収録しました。

NHK「SONGS」第154回スピッツ特集では、「空も飛べるはず」「ビギナー」「ロビンソン」と並んで、「恋する凡人」も演奏されています。

この曲も速めのビートのストレートなロックで、頭や力ではどうにもできず恋に突っ走る男の気持ちを歌っていますが、歌詞の最後の個所、


これ以上は歌詞にできない

ここで、この男でも男が恋する君でもない、俯瞰の視点に気付かされます。

俺のすべて

160万枚以上のセールスを記録している、1995年4月リリースのスピッツ最大のヒット曲「ロビンソン」ですが、制作中にはポップ過ぎると感じていた為に、当初はカップリングの「俺のすべて」がA面候補でした。

MEMO

「ロビンソン」で次世代を担うバンドの一角と注目を集めましたが、大ヒット当時草野マサムネさんは、『新しい試みもなく、今までとあまり変わらないスピッツの曲』と冷静に語っていました。

屈指のライブ曲であり、草野マサムネさんのタンバリンと﨑山龍男さんの軽快で鮮やかなドラムが聴ける、派手でハイテンションなスピッツの原点とも言える曲が「俺のすべて」です。

8823

2000年9月リリースの9th アルバム「ハヤブサ」の表題曲でありながら、シングルリリースはされていないのが「8823(はやぶさ)」です。

「8823」とは、草野マサムネさんが好きな漫画家で、映画化もされた「三丁目の夕日」などの代表作を持つ、西岸良平さんの短編漫画集「地球最後の日」に収録されている「地底人8823」が由来です。

コーンフレーク漫才でおなじみのM-1チャンピオンミルクボーイが大学時代の落語研究会の後輩だった、作家・ゲームデザイナーの河野裕さんは、「近代詩の父」とも称されているフランスの詩人ボードレールよりも草野マサムネさんが書く歌詞が大好きだそうです。

特に高校1年生頃に聴いた「8823」の、


君を不幸にできるのは 宇宙でただ一人だけ

という一説は、『凄まじい。15年間ずっと、この一文に憧れつづけている。』とまで絶賛しています。

ヴォーカルを軸に、ギターとドラムの小技も光るライブの定番曲です。

Y

「ロビンソン」「涙がキラリ☆」などが収録され、普段あまり音楽を聴かない層からも注目され始めたスピッツの最初のアルバムとも言える、1995年9月リリースの6th アルバム「ハチミツ」の9曲目が「Y」。

繊細なギターのアルペジオとゆったりとした伸びやかなヴォーカルが印象的で、一見悲しげな曲のようですが、「暗闇の中にいる孤独な僕は、離れて(別れて、死んで)しまった君を想いながらエールを送り、僕自身も前を向いて生きていく」というポジティヴな解釈もできます。

文学的で詞的な表現だからこそ自分なりの解釈ができる奥深さを持つ、というスピッツの楽曲の特徴が端的に表現されている名曲です。

醒めない

1967年生まれのメンバー4人がまもなく50歳を迎えようとしていた、結成30周年を迎える前年の2016年発表の15th アルバムが「醒めない」で、その表題曲でありながらシングルリリースされていない「醒めない」も、隠れた名曲のひとつです。

こんなにも良い曲がシングルカットされず、さらにはアルバムに何曲も潜んでいるのもスピッツの凄さです。

この曲は、まず先に「醒めない」というタイトルが浮かんで、それからイメージを膨らませて制作に入りました。

草野マサムネさんが、30年の活動を振り返った時に浮かんだと思われる「醒めない」の言葉の通りに、ライブハウスで演奏しているMVには、バンド活動を始めた頃に実際に着ていたような、パンクな衣装のメンバーがアニメーションで登場します。

結成から30年を越えても成熟することなく「醒めない」というタイトルの曲を作ってしまうような、こんなにも瑞々しい50歳はもはや奇跡としか言いようがありません。

最後に

草野マサムネさんの声やメロディ、歌詞世界、高い演奏スキルなどがスピッツの特徴ではありますが、やはり結成から一度もメンバーチェンジをすることなく続いているメンバー同士の仲の良さと信頼関係、それらがスピッツが作る曲に嘘偽りがないことを証明しているからこそ、より多くの人が惹きつけられるのではないでしょうか。

欲望を肯定し野生のままに、好きなメンバーと好きなロックをシンプルにやり続ける。

スピッツのそんなストレートな姿勢は、ロックバンドそのものです!

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