ポジティブなメッセージを託したメロディックパンクを鳴らし続け、ロックファンから絶大な信頼を寄せられている「TOTALFAT」(トータルファット)。自分の信じる道を迷うことなく歩んで行く彼らの経歴やオススメ曲をご紹介します。
結成20周年を迎え、ますます血気盛んに活動を続けるパンクバンド、TOTALFAT。
2000年代の邦楽メロディック・パンクシーンを語るうえで絶対に欠かすことのできない重要バンドのひとつです。
観る者の心を捉えるエモーショナルなライヴは圧巻で、日本各地で開催される音楽フェスティバルには欠かせないバンドとなっています。
2019年には約15年もの長きに渡って苦楽を共にした看板ギタリストKubotyの脱退という危機がありましたが、自分たちの強みを見つめ直し、スリーピースバンドとして再スタートを切ったTOTALFATの魅力をご紹介していきます。
目次
TOTALFAT / トータルファット
- Shun(シュン) / ヴォーカル、ベース
- Jose(ホセ) / ヴォーカル、ギター
- Bunta(ブンタ) / ドラム、コーラス
TOTALFAT・現メンバー
2020年3月現在、TOTALFATは下記のメンバーで活動をおこなっています。
Shun(シュン) / ヴォーカル、ベース
Jose(ホセ) / ヴォーカル、ギター
Bunta(ブンタ) / ドラム、コーラス
Shun(シュン) / ヴォーカル、ベース
- 名前:Shun
- 生年月日:1984年2月27日
- 出身地:埼玉県日高市
- 影響を受けたバンド:The Offspring、Rancid、NOFX
中学生の時、お兄さんが持っていた洋楽パンクのコンピレーションアルバム『PUNK-O-RAMA』に収録されていたNOFXの楽曲を聴いてパンクロックの洗礼を受けました。
ドラムのBuntaは同じ高校の同級生。
グッドモーニングアメリカの金廣真悟、渡邊幸一、たなしんも高校の同級生です。
小・中・高を通じて一度も学校を休まなかったというパンクロッカーらしからぬ健全なエピソードの持ち主でもあります。
Jose(ホセ) / ヴォーカル、ギター
- 名前:Jose
- 生年月日:1983年7月11日
- 出身地:東京都府中市
- 影響を受けたバンド:The Offspring、Third Eye Blind
左利き用のギターを演奏していますが、書字や箸などは幼少時に右利きに矯正されています。
元々はエリック・クラプトンやThe Venturesなど渋めのアーティストを好んで聴いていましたが、周りに音楽の趣味が合う友達がいなかったため、当時流行っていたHi-STANDARDなどのパンクバンドを聴くようになりました。
ShunやBuntaとは高校が違いますが、Buntaのクラスメイトと友人だったため、その縁で結成当初からバンドに参加しています。
Bunta(ブンタ) / ドラム、コーラス
- 名前:Bunta
- 生年月日:1983年11月24日
- 出身地:京都府
- 影響を受けたバンド:Blink-182
ベースのShunは同じ高校の同級生。
2016年9月22日、機材車の横転事故で左上腕三頭筋損傷を負い、全治3週間と診断されますが、事故からわずか10日後に出演したロックフェスティバルでは右腕一本でドラムを叩いたという不屈の魂の持ち主です。
TOTALFAT・元メンバー
Toshi(トシ) / ギター
TOTALFATの初代ギタリスト。
サーフィンが趣味で、2000年秋頃に「やっぱりサーフィンの方が好き」として脱退。
詳細は不明ですが、“サーファー”というあだ名だったという証言もあります。
Yasushi(ヤスシ) / ギター
2000年秋頃加入した2代目ギタリストです。
2004年5月にバンドを離脱しますが、その直後の同年9月に復帰。
自身の後任として加入していたKubotyを含めた5人編成で活動を開始したものの、2005年に再度脱退しています。
2010年4月8日、下北沢シェルターで開催されたバンド結成10周年記念ライヴ『10 YEARS / 4 SHOWS 全部見せます10周年!! 4本見るまで帰れま10!!!』にゲスト参加しました。
実家が工場を営んでおり、Shunはそこで夜間アルバイトをしていたことがあります。
Kuboty(クボティ) / ギター
2004年、脱退したYasushiの後任ギタリストとして加入。
「もっともっと自分の可能性を試したい」として、2019年10月22日の新木場Studio Coast公演をもって脱退となりました。
ヘヴィメタルの影響を受けたKubotyのテクニカルな速弾きギターは、通常のメロディック・パンクバンドではあまり聴かれないもので、他のバンドとは一線を画すメタリックなサウンドをTOTALFATにもたらした看板ギタリストです。
アメリカのプログレッシヴ・メタルバンドDream Theaterのギタリスト、ジョン・ペトルーシを敬愛していて、ペトルーシのシグネチャーモデルのギターを使用しています。
TOTALFAT・バンド名の由来
TOTALFATは「総脂質」の意味で、正確に表記するならば“Total Fat”とふたつの単語に分かれます。
初めてのライヴが目前になってもバンド名が決まっていなかった彼らでしたが、ライヴハウスのスタッフに「早く決めないと出れないぞ!」と催促されてしまい、近くにあったチョコレートのパッケージの栄養成分表を見て適当に決めたのがTOTALFATというバンド名でした。
Shunはブログで「あとでもっとかっこいいバンド名が見付かったら変えればいい」と思っていたと綴っていますが、そのままのバンド名で20年活動を続けています。
また、敬愛するNOFXのファット・マイクが1990年から運営するパンク系インディーズ・レーベルFat Wreck Chords(ファット・レコーズ)からの影響についてもブログ上で言及されていますが、Shun自身がこれをやんわりと否定しているインタビューも残されており、Fat Wreck Chords云々は後付けの意味だと考えていいでしょう。
TOTALFAT・経歴
結成当初は高校生メンバーによるコピーバンドだったTOTALFATでしたが、青春のすべてを音楽に捧げて全力疾走した彼らは、今では多くのファンを持つ大人気バンドとなりました。
音楽を愛し、音楽に愛されたTOTALFATの経歴をご紹介します。
結成~初期
1999年9月、東京ベイNKホールで開催されたアメリカのパンクバンドThe Offspringの来日公演を観て感銘を受けたShun、Bunta、Toshiがバンド結成を決意します。
その後、共通の友人を通じて武蔵小金井のマクドナルドでJoseを紹介され、TOTALFATが結成されました。
メンバーが高校2年生だった2000年4月6日、八王子RIPSで初めてのライヴを開催。
当初はNOFXなど海外のメロディック・パンクバンドの楽曲を演奏するコピーバンドとして活動していました。
同年秋頃にギタリストのToshiが脱退し、後任としてYasushiが加入しています。
また、オリジナル曲の制作にも力を入れ始め、初のデモテープ『First-Demo-Tape』をリリースしたのも2000年でした。
翌2001年には、バンド活動1周年を記念するデモ音源『the First Anniversary of TOTALFAT』をリリースしています。
2002年、LOWBROWとのスプリットアルバム『The Punk Rock Split』を自主制作でリリース。
メロディック・パンクとジャーマンメタルの融合をテーマに活動していたLOWBROWには、のちにTOTALFATに加入するKubotyが在籍していました。
アルバムデビュー~黄金ラインナップ完成
2003年11月19日には初のアルバム『End Of Introduction』をリリース。
若干19歳という若さを感じさせない完成度の高い作品となっており、そのサウンドは今聴いてもまったく色褪せていません。
アルバムリリースを機にライヴ本数も右肩上がりに増えていき、2014年には130本ほどのライヴに出演しています。
また、海外アーティストのオープニングアクトとして頻繁に声がかかるようになったのも、この時期からです。
2004年5月、ギタリストのYasushiが脱退し、元LOWBROWのKubotyが助っ人ギタリストとして参加。
同年9月にYasushiが復帰することとなり、バンド内でKubotyの処遇が検討されましたが、「じゃあ5人でやっちゃおうよ」という軽いノリで、ギタリスト3人を含む5人編成に生まれ変わることとなりました。
2005年3月2日には5人編成となって初の作品となるミニアルバム『Get It Better』がリリースされ、ファーストアルバムよりも大きく広がった音楽性で、バンドの成長をファンに強く印象付けました。
復帰したばかりのYasushiでしたが、2005年に再脱退することとなり、再び4人編成へ。
以降、Shun、Jose、Bunta、Kubotyというラインナップが2019年まで続くこととなります。
憧れのバンドと共演~シーンの中軸バンドへ
その後、高校の同級生バンドfor better, for worse(グッドモーニングアメリカの前身バンド)とのスプリット盤『When The 8th Spring Has Come…』、80~90年代ハードロックの名曲をカバーした企画盤『Hard Rock Reviver U.S version』、ミニアルバム『Hello & Goodnight』を挟み、2008年4月には待望のセカンドアルバム『All The Dreamer, Light The Dream』を発表。
同アルバムはオリコンチャートの100位圏内に入る結果を残し、作品の評判と精力的なライヴ活動が実を結び、バンドの人気は着実に高まっていきました。
同年10月には、バンド結成のきっかけとなったThe Offspringの日本ツアーのオープニングアクトに抜擢され、彼らと同じステージに立つという夢のような出来事が。
筆者もこのツアーを観に行きましたが、「僕らはThe Offspringのライヴを観た翌日にバンドを組んだんです」と語り、観客から大きな拍手を受けていたTOTALFATのメンバー達の嬉しそうな顔が忘れられません。
2009年5月には、前作からわずか1年というインターバルでサードアルバム『FOR WHOM THE ROCK ROLLS』をリリース。
前作よりもさらに大きくチャートを上昇し、オリコンチャート最高51位を記録しています。
また、同年からは自主イベント「PUNISHER’S NIGHT」がスタートし、【TOTALFAT + ゲスト2バンド】というコンセプトを遵守しながら毎年開催しています。
バンド結成10周年となった2010年には、さらなる飛躍を目指し、メジャーレーベルのKi/oon Recordsへ移籍。
メジャーデビューに先駆けて開催された10周年記念ライヴでは、2日間で全4ステージを敢行し、それまでのバンドの歴史を総括してみせました。
同イベントには、2代目ギタリストのYasushiがゲスト出演してファンを驚かせています。
Ki/oon Recordsからアルバム『OVER DRIVE』でメジャーデビューを果たしたTOTALFATは、インディーズ時代の再録音曲を含んだ2013年のベストアルバム『THE BEST FAT COLLECTION』まで計4枚のアルバムをメジャーのフィールドで発表しました。
2011年頃から歌詞に日本語を取り入れたり、尊敬するThe Offspringのように意識的にパンク以外の要素を導入してみたり、と試行錯誤しつつも順調に活動を続けてきたTOTALFAT。
2015年にはメジャーを離れ、インディーズレーベルのRX-RECORDSへ移籍しましたが、その歩を緩めることはありません。
10周年を迎えたパンクの祭典「PUNKSPRING2016」では、日本人初のヘッドライナーとして東京会場のトリを任される名誉に与かり、記念の年に華を添えました。
Kuboty脱退~3人編成へ
しかし、そんな彼らを大激震が襲ったのは、バンド結成20周年を目前に控えた2019年のこと。
2019年4月7日、「もっともっと自分の可能性を試したい」として、看板ギタリストであるKubotyが脱退を表明したのです。
まさに寝耳に水の脱退劇にファンは騒然となりました。
公式サイトにはKubotyとバンド双方からのコメントが掲載され、脱退はあくまでも友好的なものであることが強調されています。
同年10月22日に新木場Studio Coastで開催されたKuboty在籍時最後となるライヴ<TOTALFAT presents Kuboty’s Last Show“FINAL SHRED”>は完全ソールドアウトの大盛況で、Kuboty自身が組んだセットリストでファンに別れを告げました。
ギタリストの脱退により活動が停滞するかと思われたTOTALFATでしたが、Kubotyラストライブ終演の数時間後、10月23日0時に新曲“Give It All”を予告無しで配信リリース。
新メンバーを迎え入れることはせず、バンドの創設メンバーである3人によるスリーピースバンドとして再スタートを切ることが表明されました。
2020年1月にリリースされた新生TOTALFAT初となるアルバム『MILESTONE』では、Kubotyが主に担っていたヘヴィメタルからの影響は影を潜め、3人のルーツであるメロディック・パンクに焦点が当てられた原点回帰的な作品となっています。
アルバムリリース翌月からは、「MILESTONE Tour 2020」と題されたツアーがスタートしており、結成20周年イヤーを爆走する彼らの動きからは目が離せません。
TOTALFAT・オススメ曲
結成20年を迎え、すでにベテランの域に入ったTOTALFAT。
今までに彼らが発表した数々の名曲の中から厳選したオススメ曲をご紹介します。
PARTY PARTY
2012年シングルとしてリリースされた楽曲で、同年に発表されたアルバム『Wicked and Naked』にも収録されています。
音楽フェスティバルのようにTOTALFATを初めて観るお客さんが多い場においても、一発で流れを自分たちへ引き寄せることのできるキラーチューンです。
TOTALFATの持つ“陽”の部分をギュッと詰め込んだ楽曲で、X JAPANから大きな影響を受けたKubotyの趣味丸出しのツインリードにニヤリとさせられます。
ONE FOR THE DREAMS
ヘッドライナーを務めた「PUNKSPRING2016」の会場で無料配布されたシングルで、2017年発表のアルバム『FAT』にも収録されている応援ソング。
「ウォーオーオー!」と拳を突き上げながら参加できるコーラスがあり、「やっぱりメロコアっていいな!」と思わせてくれる疾走感のある楽曲です。
中盤に導入されたラップパートで歌われる<好きだという想いは譲らないで>という歌詞に背中を押してもらったファンも多いのではないでしょうか。
ALL AGES(Worth a Life)
Kuboty脱退後、スリーピースバンドに生まれ変わってからの楽曲です。
2019年11月20日に配信シングルとしてリリースされ、翌2020年に発表されたアルバム『MILESTONE』に収録されました。
4人編成だった時代のメタリックなリフやソロは聴かれず、メンバーのルーツであるThe Offspringを連想させるメロディック・パンク色の強い仕上がりとなっています。
The Offspringのアルバム『Ixnay on the Hombre』や『Americana』が好きな人なら絶対に気に入る楽曲だと言えるでしょう。
パンクロックを全面的に肯定したポジティブな歌詞は、「自分たちはこれからも迷わず進んで行くんだ」と高らかに宣言しているようでもあります。
TOTALFAT・まとめ
日本を代表するメロディック・パンクバンド、TOTALFATをご紹介してきました。
高校2年生でバンドを結成した彼らは、人生の半分以上をパンクロックに捧げてきた筋金入りのパンクロッカーです。
そんな彼らが全身全霊で鳴らすパンクロックの世界を是非体験してみてください。
きっとライヴ会場で大勢のファンと一緒に汗だくになりながらTOTALFATの名曲の数々を合唱したくなるはずです。
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